アンナム工場でのあなたの役割について教えてください。
生産と工場運営に関するトータルマネジメントを担っています。アンナム工場は東京ドーム約2.5個分の広さがあり、全体を管理することは非常に大変ですが、特に大変なのは、人をどうまとめるかという点です。日本人が共通認識していることをベトナム人は共通認識していませんし、ベトナム人と日本人では目指しているゴールも全く違います。これは感覚の違いですね。その違いを同じ感覚に持っていく作業はすごく労力が必要ですが、自分に託された大事な役割だと感じています。
工場立ち上げ当初は縫製経験者を中心に採用していましたが、現在は未経験者でも積極的に採用しています。縫製経験者はスキルや知識の面でアドバンテージはあるものの、基本的にはやる気を持って取り組める人なら未経験でも大歓迎です。ベトナム人スタッフは他国と比べても熱心に仕事に向き合ってくれるタイプの方が多いと感じます。ただ、先ほどの話にもあったとおり感覚の違いがあるので、コミュニケーションの取り方には気を付ける必要があります。こちらが何を期待しているのかを明確に伝え、理解できるまで根気強く教えるコミュニケーション力が必要ですね。
仕事や会社において、これから挑戦したいこと、目指していることについて教えてください。
まずはアンナム工場の拡大、そしてマツオカで世界一の縫製工場を目指しています。工場の拡大はもちろんなのですが、世界一を目指すなら新しいビジネスモデルの構築にも挑戦していく必要があると考えています。
海外に出てみて、“日本の競争力の弱さ”をひしひしと痛感しました。自分の思い込みかもしれませんが、日本に居た時は「日本は海外からも一目置かれるすごい国だ!」と思っていました。ですが現実はまったく違っていて、日本の影響力なんてほんのわずかです。その時に初めて、日本に対して勝手に幻想を抱いていたことに気づき、その現実が悔しかったですね。
アンナム工場自体はまだ発展途上であり、完成形に至るにはもう少し時間がかかります。まずは工場を安定して運営できる状態まで持っていくこと。その次の段階として、グローバルな市場で勝負していける力をつけるために、新しい分野への進出も視野に入れビジネスの多角化を図っていきたいと思っています。
その下準備として、今は新しいアイデアや提案を出し、上司や同僚とディスカッションする機会を作るよう心掛けています。会社の将来を考える上で、今後必要になることには積極的に挑戦を続けていきたいと思っています。
仕事以外で挑戦していることや楽しみにしていること、趣味などについて教えてください。
もともと服が好きでこの業界に入ったこともあって、無意識のうちに現地の文化やファッションをよく観察している気がします。海外にいると、日本にはないような新鮮な体験や物事に出会うんです。例えば、現地の人がよく利用する長距離バスを使ってみたり、モデルをやっているベトナム人の友人を通じて、現地で開催されるファッションショーに招いてもらったり。現地の文化に触れる機会は、すごく刺激になりますね。
自分自身が「郷に従う」ということを、最初から意識していた部分もあります。それがいつの間にか自分の楽しみに繋がっていったなと実感しています。
あなたにとってマツオカはどのような存在、場所なのか、教えてください。
「新しい挑戦の機会を得られる場所」だと思っています。海外に出ると、日本では出会えないような人々との出会いがあり、いろいろな話を聞くことができますし、多くのチャンスに巡り会えると感じています。マツオカに入るまで、まさか自分が世界的な大手企業と仕事ができるようになるとは想像もしていませんでした。そういう意味でも、すでに自分にとって貴重な経験を得られたと思います。
将来は、今以上に世界レベルの企業と取り引きできるチャンスを増やしていきたいという構想がありますが、そういった世界規模での構想を描けて、取り組める環境に身を置けていることに感謝しています。世界へ進出しているマツオカだからこそ得られる貴重な経験だと思っています。
入社前と入社後、変わったことを教えてください。
工場運営のトータルマネジメントという仕事を任せてもらい、仕事に対する見方・考え方が大きく変わったと感じています。
以前の仕事では、全体よりもパーツに焦点を当てた業務が多かったと思います。マツオカで全体を管理する機会を得てから、パーツだけを見ていた時には気づかなかった沢山のことが見えてきたと実感しています。
全体像が見えてくると、今取り組んでいる仕事に留まらず、次に何をすべきか、どのように進めるべきかを考えることの重要性に気付かされるんです。ただ与えられたタスクをこなすだけではなく、次のことを考え、そのためにはどういうプロセスを踏めばいいのか、ということを考えるようになりました。
数字と責任を背負い、結果を出すことが求められているからこそ、広い視野でトータルマネジメントを行っていくよう努めています。
※インタビュー内容等は、取材当時のものです